離婚の子供に与える影響  事例1

こんにちは
離婚カウンセラーの木下ゆか です。

今日は前回の離婚の子供に与える影響の続きで離婚の悪影響を長引くケースの事例をご紹介致します。

事例1:離婚の悪影響を長く引きずるケース(見捨てられ体験)

本事例の夫婦の離別は、嫁ー姑・小姑間の極度の葛藤と、葛藤の狭間に疲れた父が、ある日突然、家族を捨てて家を出てしまったことから始まった。当時5歳であったA男と2歳であったB子は父が家を出るまでに、夫婦間の高い葛藤に晒されていた。
数年間の別居後、調停は不調になり、裁判で和解。親権は母親。父からの面接交渉の希望がないことを幸いに、母も子供との問題にふれずじまいだった。
別居開始後2年ほどして母は、子供を連れて実家に戻り、祖父母の協力をもとにフルタイムで働き始める。残業も多く、子供達は短期間のうちに実質的に2人の親を失うことになった。
また、母親にとって突然の夫の家出はおおきなショック体験であり、以後母は混乱の極地に陥り、長い間精神安定剤を常用し、自暴自棄になり外科手術を受けたり、激しい体重の増減も見られた。こうした状態は長年に渡り、別居後の適応状態は最悪で、結果として親機能の極端な低下が見られ、長男との間には役割逆転が、長女との間には情緒的応答性の欠如が生じた。そのため長男には極端に大人びた面と極端に幼い面が同居。長女には、母の注意を抱こうとする過剰適応の特徴が見られた。

小6時のA男は、半年以上続く頭痛、腹痛、気分の悪さ、ボーッとして、あぞばず、宿題もせず、勉強もせず「いらいらする!」「しんどい!」を連発し、口を開けば父親のこと、自分はろくな人間にならないだろう、人は信用できないといった言葉を口々にし、幼少期の記憶がまだ生々しい外傷記憶として残っている。

A男は両親の突然の別居とその後の父からの拒絶と母の混乱と親機能低下という急激な環境の変化に対して、A男は必死になって適応しようとした。しかし、本来父や母に向けられるべき激しい怒りは、置き換えられて、学校では教師や友達に、家庭では妹に向けられた。担任がA男の問題行動を家庭に連絡しても、母親が家庭環境の変化を隠したため、A男は「異常児」扱いをされてしまう。その後もA男は高校を中退し社会人になるまで状態は良くなかった。

一方、別居時2歳であったB子の場合は幸いにも夫婦間の葛藤についての記憶は残っていない。
9歳頃までは学業成績も優秀であったが、その後破綻が生じた。表情も暗く、全般的に抑うつ気分が漂っており、言葉も行動も子供らしさを失い、極端に良い子というものであった。他人に甘えたりする事が苦手でどんなに辛くても、黙々と自分1人で抱えて頑張るという状態であったが、3年後回復。

次回は
・殆ど悪影響のないケース:事例2
・どのような条件がそろうと子供へ悪影響をあたえるのか 事例1と2の比較 <結論>